興隆正法運動

 興隆正法運動は、興正寺の寺号に由来しており、お念仏を多くの人に伝えていく真宗興正派の教化運動です。日本に仏教をひろめた聖徳太子の事績にちなみ「正しき法を興し、さかえさす」(正法を興隆する)との願いが込められています。本山と教区、教区と寺院、寺院と門徒が一貫した体制のもと、宗門全体で問題を共有し参画して、真宗門徒の生活姿勢を具体的に実践していくことを目的としています。

教化テーマ やっぱり阿弥陀さん

〈「聞く」「喜ぶ」「伝える」の3つの姿勢〉

1.お寺にお参りして仏さまの願いを聞きましょう

 お寺にお参りする目的は、他の人のためではなく阿弥陀さまが私を救うためにかけてくださった願いを、私自身がしっかりと聞くためなのです。その願いを聞く場所がお寺です。お寺は仏法を通してわが身を振り返ることができる唯一の場所だといってよいでしょう。

2.家族そろって仏さまに手を合わせ授かった命の尊さを喜びましょう。

 家族そろって手を合わせる場所はお仏壇です。そこで亡き人を通じて私たちは「いのち」の尊さに気づかされるのです。浄土真宗のご本尊である阿弥陀さまに家族みんなが手を合わせることで「いのち」を大切にするこころが育てられるのです。

3.柔らかな心でお互いが認め合える幸せを伝えましょう。

 浄土真宗は御同朋(おんどうぼう)、御同行(おんどうぎょう)がともに手をとり、歩んでいく集まりです。つまり、「私が」という利己的な殻を阿弥陀さまに打ち砕かれたところに、柔らかな心が育てられ、お互いが認め合える世界が生まれてくるのです。

 

親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年法要に向けて
興隆正法運動「今こそお念仏」プロジェクト

 

教化スローガン 「今こそお念仏 - つなごうふれあいの輪」

 

 「今こそお念仏」プロジェクトは、2023年に厳修予定である親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年法要に向けた真宗興正派の興隆正法運動(正法を興隆する運動)です。「今こそお念仏 - つなごうふれあいの輪」を教化スローガンとして、2019年から4年4期で進めていきます。各4期のテーマや、それに基づく趣旨および目的をご紹介します。

[ 1期 ] テーマ:「今こそお念仏」

期間:2019年度(2019年7月~2020年6月)

 

 「今こそお念仏」とは、これまでに私が頂いてきたお念仏を否定する言葉ではありません。今を生きる「私こそお念仏」に出遇う身であったという自覚、「やっぱり阿弥陀さん」というなずきの言葉です。親鸞聖人は、阿弥陀仏が「十方衆生」(第十八願)と呼び掛けて下さった御本願を「親鸞一人がためなりけり」(『歎異抄』後序)と生涯受け止めていかれました。私「一人がためなりけり」とのうなずきは、「今こそお念仏」に出遇う我が身であったという自覚の歩みでもあります。そして「今こそお念仏」との歩みは、「十方衆生」を救うと誓ってくださった阿弥陀仏の御本願の世界、すなわち「みな共に歩みゆく世界(共生)」を開いていくのです。

 

 そこで、「今こそお念仏」プロジェクト1期テーマ「今こそお念仏」では、「今」という時代はどのような時代であるのかという現状をしっかりと踏まえ、今を生きる私とは何か、なぜ今こそお念仏は必要なのか、お念仏は私にとって何であるのかなど、さまざまな問題提起を通して親鸞聖人のお念仏を学ぶ機会としていきます。

[ 2期 ] テーマ:「つなごう」~○○と○○~

期間:2020年度(2020年7月~2021年6月)

 

 これまでお寺は、お念仏の根本道場として、阿弥陀仏と私、人、地域を「つなぎ」ながら、人と人、人と地域を「つなぐ」役割も果たしてきました。しかし社会状況の変化に伴い、「つながり」が希薄となった昨今、これまでお寺が担ってきた役割や機能は失われつつあります。このことは、阿弥陀仏と私、人、地域を「つなぐ」機会を失わせることにもつながっていきます。

 

 そこで、「今こそお念仏」プロジェクト2期テーマ「つなごう」では、「つながり」が希薄となった現状をしっかりと見つめながら、現代社会における人と人、人と地域、お寺と私、お寺と地域、お仏壇と私、お仏壇と家族などの「つながり」を考える機会としていきます。

[ 3期 ] テーマ:「ふれあい」

期間:2021年度(2021年7月~2022年6月)

 

 親鸞聖人がお示し下さったお念仏のみ教えは、いのち、人、家族、地域など多くの「ふれあい」の場において育まれ今日まで受け継がれてきました。それはつまり、「ふれあい」の場がお念仏を育み受け継いできたということでもあります。しかし現代社会においては、地域とふれあう、家族とふれあう、人とふれあう、いのちとふれあうという機会が減少し、お念仏が育まれ受け継がれていく場が少なくなってしまいました。

 

 そこで、「今こそお念仏」プロジェクト3期テーマ「ふれあい」では、そもそも「ふれあい」とは何か、「ふれあい」の場とは何かを考えることで、お念仏が育まれ受け継がれてきた本質を再確認する機会としていきます。このことは、「ふれあい」の中でお念仏を伝えてきたお寺や、家族のふれあいの場であったお仏壇の役割を考える上でも重要です。

[ 4期 ] テーマ:「今こそお念仏-つなごうふれあいの輪」

期間:2022年度(2022年7月~2023年6月)

 

 興隆正法運動「今こそお念仏」プロジェクト4期は、1期から3期までの学びや再確認を取りまとめ、教化スローガン「今こそお念仏―つなごうふれあいの輪」として総括していきます。各教区の研修会・ワークショップなどでは、教化スローガンをもとに、今を生きる私にとってのお念仏、現代社会におけるお寺の役割と機能などを再確認していきます。ここでの総括が、今後の教化運動の基本方針となるように、課題を共有し明確にすることを目的としています。

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